マンション・建物外壁点検でドローンを使う場合の手続きと注意点
- 2 日前
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マンションやビルなどの建物外壁点検に、ドローンを活用する事業者が急速に増えています。従来は足場やゴンドラを使って作業員が直接点検していましたが、ドローンを使えば高所作業のリスクを回避しながら、より短時間・低コストで調査ができます。

しかし、外壁点検でドローンを使う場合、「建築基準法上のルール」と「航空法上の飛行許可申請」の両方を正しく理解する必要があります。特に都市部のマンション・ビルでは、住宅密集地での飛行となるため、許可申請が必須となるケースがほとんどです。
この記事では、マンション・建物外壁点検でドローンを使う際に必要な手続きと注意点を、ドローン飛行許可専門の行政書士がわかりやすく解説します。
INDEX
1. 建築基準法12条と外壁点検の義務
2. ドローン赤外線調査が法定調査として認められた経緯
3. 航空法上の手続き|外壁点検に必要な飛行許可申請
4. 都市部のマンション点検で特に注意すべきこと
5. 包括申請で継続的な点検業務に対応する
6. 申請の流れ
7. よくある失敗と注意点
8. まとめ
1. 建築基準法12条と外壁点検の義務
建築基準法第12条では、一定の建築物(特定建築物)の所有者・管理者に対し、定期的に建築物の状態を調査し、特定行政庁に報告することを義務付けています。これが一般に「12条点検(定期報告制度)」と呼ばれるものです。
外壁については、竣工または外壁改修工事完了から10年を経過した後、最初の定期報告時までに全面調査を行うことが求められています。対象となる外壁材はタイル・石貼り・モルタル仕上げ等(乾式工法によるものを除く)で、劣化・剥落のおそれがないかを確認します。
この調査は、一級建築士・二級建築士または建築物調査員資格者証の交付を受けた者が実施し、結果を特定行政庁に報告しなければなりません。ドローンによる調査はあくまで調査手法の一つであり、報告義務自体はなくなりません。
2. ドローン赤外線調査が法定調査として認められた経緯
従来、外壁の全面調査は作業員による「全面打診」が一般的な方法でした。しかし高層建築物での足場・ゴンドラの設置は多大なコストと時間、作業員の安全リスクを伴います。
こうした状況を受け、2022年1月18日付の国土交通省告示(平成20年国土交通省告示第282号の改正)により、ドローンに搭載した赤外線カメラによる調査が、建築基準法12条に基づく外壁全面調査の方法として正式に認められました。
具体的には、外壁のタイル・モルタルの劣化状況を調査する際に、「テストハンマー等による打診と同等以上の精度を有する方法」として、無人航空機(ドローン)による赤外線調査が明確に位置付けられています。
また、国土交通省は「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」を公表しており、調査精度・方法・報告書の様式について詳細な基準が定められています。
3. 航空法上の手続き|外壁点検に必要な飛行許可申請
建築基準法上の調査方法として認められたとしても、ドローンを飛ばすためには航空法上の飛行許可申請が別途必要です。この点を見落としているケースがあるため、注意が必要です。
マンション・ビルの外壁点検では、次の飛行条件に該当するケースがほとんどです。
飛行の条件 | 必要な手続き |
人口集中地区(DID)上空 | 飛行許可申請 |
人・建物から30m以内 | 飛行承認申請 |
目視外飛行(建物裏面・高所等) | 飛行承認申請 |
夜間飛行 | 飛行承認申請 |
高度150m以上(超高層建物) | 飛行許可申請 |
特に、建物の外壁に接近して飛行する点検作業は、対象建物はもちろん、隣接する他の建物や敷地内の物件からも30m以内になるケースが多く、承認申請が必須となります。
都市部のマンションでは、DID上空かつ30m以内という条件が重なることがほとんどで、複数の許可・承認を一度にまとめて申請することになります。
4. 都市部のマンション点検で特に注意すべきこと
都市部のマンション・ビル点検は、住宅密集地や商業地で行われるため、特有の注意点があります。
隣地・道路・通行人への配慮
飛行エリアの直下や周辺に、居住者・通行人・車両が存在することが前提となります。飛行中に第三者が立ち入らないよう、カラーコーンやロープで立入制限区画を設け、補助者を配置することが安全管理上求められます。
電線・アンテナ・看板等の障害物
都市部の建物周辺には電線・通信ケーブル・テナント看板・設備機器など多くの障害物があります。飛行ルートの事前確認と、機体の障害物回避機能の活用が重要です。
マンション居住者への事前通知
点検対象のマンション居住者や管理組合に対し、点検日時・内容・ドローンの使用について事前に周知することが、トラブル防止の観点から重要です。プライバシーへの配慮を含め、撮影範囲や画像の取り扱いについても明確にしておくことを推奨します。
隣接建物の管理者への連絡
飛行経路が隣接建物の上空や近傍を通る場合、当該建物の管理者への事前連絡と了承を得ておくことが望ましいです。
5. 包括申請で継続的な点検業務に対応する
複数の建物を継続的に点検する事業者にとって、案件ごとに個別申請をしていては業務効率が大きく落ちます。
包括申請(飛行場所・日時を特定せず1年間・全国を対象に申請する方法)を取得しておけば、許可期間中は都度申請することなく現場に入れます。建物管理会社・点検業者・調査会社など、定期的に複数物件を担当する事業者には、包括申請の取得が実務上の基本となります。
6. 申請の流れ
① 飛行条件・現場環境の整理
点検対象の建物の所在地(DID該当の有無)・高さ・周辺環境(隣接建物・電線・道路等)を確認します。
② 必要な許可・承認の確定
飛行条件に基づきカテゴリーを判定し、必要な許可・承認の内容を確定します。
③ 飛行マニュアルの作成
外壁点検業務に特化した飛行マニュアルを作成します。近接飛行の手順・立入制限区画の設定・補助者の役割・緊急時対応を盛り込みます。
④ DIPS2.0で申請
国土交通省のDIPS2.0からオンライン申請を行います。機体情報・操縦者情報の事前登録が必要です。
⑤ 許可書の取得・飛行計画の通報
許可書取得後、各現場での飛行前にFISSへ飛行計画を通報します。
7. よくある失敗と注意点
「建築基準法で認められたから飛ばせる」と思い込む
建築基準法上の調査方法として認められていても、航空法の飛行許可申請は別途必要です。最も多い誤解の一つです。
DID確認の漏れ
都市部のマンションはほぼすべてDID内です。郊外でも確認は必須です。
隣接建物からの距離計算の誤り
対象建物だけでなく、隣接する建物・フェンス・駐車車両からの距離も30mの対象となります。
立入制限区画の未設置
飛行中に通行人が侵入しトラブルになるケースがあります。補助者の配置と区画設定はセットで準備が必要です。
居住者・管理組合への事前連絡なし
突然のドローン飛行に住民から苦情・通報が来るケースがあります。
機体重量・カメラ搭載後の重量確認漏れ
赤外線カメラを搭載すると重量が変わります。申請時の機体重量との差異に注意が必要です。
8.まとめ
マンション・ビルの外壁点検でドローンを使う場合、建築基準法上の調査方法として認められていることと、航空法上の飛行許可申請が必要であることは、別の話です。
両方の手続きを正しく理解した上で運用することが、法令違反のリスクを避けるために不可欠です。
都市部での点検は、DID上空・30m以内・障害物・居住者対応など、通常の空撮よりも複雑な条件が重なります。申請手続きや安全管理体制の整備に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
ゴーイング行政書士事務所では、外壁点検・建物点検向けのドローン飛行許可申請をオンラインで全国対応しています。LINEやメールでのご相談も承っております。